8/14(木)〜17(日) 第2回公演『Many Classic Moments』 公演情報&チケット予約はこちら

稲葉組ができるまで【2005〜2010 まとめ】

※Xで連載していた20年振り返り企画『稲葉組ができるまで』を加筆・修正したものをまとめています。

【目次】 
⇒2005〜2010 始まりの朝霞西(『A Midair Knight’s Dream』とか『La Esperanza』とか)
 2010〜2012 ラブコメの始まり(『Twinkle Night』とか『I Got Rhythm!』とか)
 2013〜2015 高校演劇を諦めた日(『Love & Chance!』とか『Ernest!』とか『Eliza!』とか)
 2016〜2017 逆襲の新座柳瀬(『Love & Chance!』とか『Merry-Go-Round!』とか)
 2018〜2020 奇跡のようなこと(『Ernest!?』とか『Confession』とか)

2005『夏芙蓉』(越智優/作)
 2年生に「絶対、中央発表会に出たい」と言われて挑んだ顧問1年目の秋季発表会。大会のルールもよく分からぬまま、地区を抜け、約束の中央へ行くも風邪で生徒の声が出なくなり、残念な思いを残します。
 振り帰ってみれば最初で最後の教室セットでした。
(第54回埼玉県高等学校演劇中央発表会 優良賞)

2006「蝶になる家族」(金谷奈緒/作)
 春季演劇祭の演目を選びでは、この年の1月に観に行った芸術総合高校の3年生の授業発表で上演されていた創作脚本の上演許可をいただく。
 舞台上をエリア分けして、場面を転換なしで繋いでいく演出はこの作品から始まりました。
 また、最初の特攻服を買ったもこの時でした。

2006「紅のキャベツ」(金谷奈緒/作)
 この年の秋季発表会は金谷さんの書き下ろしの作品。
 初めて役者が立つ182cmの高台を5つ作る。強度が心配で、ものすごく重い仕上がりに。運ぶのが大変。
 この年も中央発表会へ。その後、多くなっていく日曜朝一枠で初めて上演でした。
(第55回埼玉県高等学校演劇中央発表会 優良賞)

2007「じゅげむ」(金谷奈緒/作)
 春季演劇祭は引き続き、金谷さんの書き下ろし作品。この作品は県の研究会でも上演しました。
 3人芝居なので春季演劇祭組と研究会・コピス組の2組に分けたけど、5月の研究会前に役者が風疹でダウン。そのため研究会は急遽、混成チームを組んで臨みました。そのため、この作品は3種類の組み合わせでの上演となりました。
 舞台は駅のホーム。パンチと蹴込で黒くした平台をホーム、白い布を線路に見立てました。
 銀河鉄道的な要素を含む物語なので、川の場面は地明かりを落してコロガシからの青い光で白い布を染めることで表現。演出的にはラーメンズさんの影響がピークの頃です。

2007『蝶になる家族』(金谷奈緒/作)
 秋は前年春季の演目の再演
 昨年春季演劇祭からセットはリニューアルし、この時に初めて階段を作りました。高台に上がったり、途中で分岐したりするデザインは今に通じるものがあるかも。
 当時の踏板の奥行きは30cm。図面との相性を考えてそうするものだと思っていたのですが、これはあまりいい選択ではありませんでした。
 この時の座組はとても良かったけど、残念ながら地区止まり、とても残念なできごとでした。

【補足】この頃使っていたビデオカメラ
 この頃まで映像記録はMini DVテープを使うSONYの『DCR-TRV10』で撮影してました。画面比率は4:3。
 少し時代を感じます。
 この頃の映像の画質だと、映像から画像として切り出してくるとかなり荒いので、資料としてもちょっと辛いですね。

2008『The Spirit of !!!』(創作)
(原案:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』による)
 3回目の春季演劇祭で初めて脚本を書きました。
 銀河鉄道モチーフの場面とライト兄弟の晩年のエピソードを元に2つの時代を行き来しながら進む物語。読み返すと、書き慣れてないので科白の言葉が固くて、重いのが良く分かります。
 大道具としては、この作品で初めてドアを作りました。
 4月公演(写真上段)の際は演出にラーメンズさんの影響が色濃い、黒い基本衣装とか、お芝居の仕方も
 6月公演(写真下段)の際には、この頃に浴びるように観ていた後藤ひろひとさんの影響が色濃く滲むようになっていきます。この変化は後にある出会いのきっかけとなります。

※上演時のタイトルは『Midair Knight’s Dream』だったのですが、諸事情により、この年の夏秋の同じタイトルで別内容の物語を書いたため、後に改題しました

2008『A Midair Knight’s Dream』(創作)
 前作同様、ライト兄弟を題材にファーストフライトのエピソードをちょっと変わった物語に仕立てました。この後、勘違いや思い込みで物語が進んでいくコメディーが増えていきますが、この作品がその始まり。
 この作品は例のクマのデビュー作でもあります。
 この年は第14回高校演劇サマーフェスティバルに出場。ヒヤリングの時期が早く、上演台本が一文字も無いまま、ヒヤリングを『The Spirit of !!!』の舞台図面で乗り切り、同じ装置で別の物語を作るという荒技に。この頃から薄氷をペキペキ云わせながら歩いています。
 この作品で秋季に参加しますが、この年も地区止まり。結果より先入観とか思い込みまみれの講評を聞くのはしんどかった。「ライト兄弟とか顧問の趣味を押し付けるな」的な。
 もちろん審査員たちは、部員たちがKKP#5を好きとは知らない訳で……

2008『SPOOKY HOUSE』(後藤ひろひと/作)
 長期休暇中の昼休みに舞台のDVDを観るのですがある時、思い切って上演してみようという話になったのがこの作品。
 上演許可を申請すると、脚本は渡せないけどDVDからの書き起こすのならば上演して良いとのこと。
 それならば!と準備開始。
 脚本の書き起こし、合宿所にセットを立て込み、事務室で図面を見せてもらって、どのコンセントが同じ回路かを確認して、電源の確保!
 とにかくバタバタ模索しながらの公演でしたが、この頃からお客様がたくさん来てくださるように…

2009『ピンポン探偵と山椒魚』(金谷奈緒/作)
 この年の春季演劇祭は金谷作品に回帰して、久しぶりの既成台本。稽古の最初から脚本がある安心感は大きい。
 装置は作品の世界観を表現するため、少し変わった形の卓球台とピンポンのように上手下手を移動するキャスターを使った可動式引戸パネルを製作。
 クマを2匹作ったことで縫い物スキルがかなり向上、この作品では人に噛み付く山椒魚と人を頭から飲み込む魚を作ったのですが、思いの外、スムーズに作れました。
 クマの時は手縫いだけでしたが、この時は高校時代以来10年ぶりぐらいにミシンを使いました。家庭科共修1期生の本領発揮!

2009『Alice! 〜ハートの国の殺人事件!?編〜』(脚色)
(ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』による)
 秋季発表会の準備中、『原作どうする』と相談すると、部長が『アリスとか』と云い、『じゃあそれで』と書き始めた作品です。後に同じくアリスが題材り作品を作った時に『パート2』とナンバリングしましたが、『1』と『2・3・4』とのつながりはありません。
 4枚の扉を配して、その出入りで、すれ違いと勘違いを発生させていく物語。目まぐるしく展開する物語とドアの開閉のタイミングがピタリと合っていく感じは現在に通じるものがあります。
 大道具的にはドア作りレベルが4に上がった!

2009『ひーはー』(後藤ひろひと/作)
 …ということで、その年の秋から冬。昨年に引き続いて、お気に入りの作品をやってみようパート2。
 昨年、『SPOOKY HOUSE』を上演した後に『来年はこの続きを』と話していたので、続編のこの作品を。
 昨年同様、合宿所にセットを立て込み、この年も試行錯誤の公演。この作品に欠かせない黄色い『トコトコウマ』の再現には特に苦労、でも執念で作り上げました。
 実はこのウマがウチのクマのルーツ。創作を始めた時に『ウマのように色んな作品に登場するマスコットがあると良いね』というコンセプトで作ったのがクマでした。

2009『LENS』(小林賢太郎/作)
 お気に入りの作品をやってみようパート3。
 この時は小林さんが大好きな部員がいたこともあり、上演許可をお願いして挑戦、脚本の書き起こしはその部員がしました。
 この時はそれらしい衣装を揃えるのが大変で、ずっとヤフオクで探してた記憶があります。
 また、この頃になると作品ごとに特別なセットを作るのは止め、組み方を変えれば違う空間が作れるようにパネルや台の高さのルールを決め始めました。
 これにより予算を抑えて色々な空間を作れるようになりました、この設計思想が現在も基本になっています

2009『BIG BIZ〜宮原木材危機一髪!〜』
(後藤ひろひと/作)
 お気に入りの作品をやってみようパート4。
 『ひーはー』から『BIG BIZ』までの3作品は12月・1月・2月の3ヶ月連続公演でした。この年は新型インフルエンザが猛威を振るい、学級閉鎖や部員の体調不良で予定通りが狂い、かなりタイトな日程になりました。これが60分の演目ならまだしも、それぞれ90分以上の演目ばかり。
 上演できないかなぁ……とも思いましたが、この時は『どうやったら短期間で作品を仕上げられるか』を考えて、効率重視の稽古方法を模索しました。
 この時に身につけた稽古期間に合わせて作品作りを最適化していく取捨選択の方法が、今でも特にタイトな日程での作品作りに役立ってます。

2010『La Esperanza』(創作)
 2009年度末に朝霞西から新座柳瀬に異動。その時に春季演劇祭用の演目として準備した朝霞西での最後の作品です。
 物語はグラハム・ベルがアン・サリバンをヘレン・ケラーに紹介した話とベルとイライシャ・グレイと『電信の改良』の特許を巡る争いを題材に組み立てました。
 ……と書くと難しそうですが、難しいことは綺麗に取り除いたコメディーです。
 異動後にも道具を立てての稽古や搬出入が簡単にできるように、ボックス5個とテーブルセットだけにしました。実は僕の作品は全てこの演出に落とし込めるのではないかと思ってます。

2005夏芙蓉
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